こんにちは、勘矢です。
今回は淀藩 稲葉家の一族、館山藩 稲葉家について調べたことをまとめました。
1. 館山藩 稲葉家
戊辰戦争時、旧幕府海軍副総裁 榎本武揚率いる軍艦が館山に来航して一時本拠とし、さらに旧幕遊撃隊と上総請西藩主 林忠崇率いる一隊が館山藩にも決起を呼び掛けたので、藩論は勤王と佐幕とで一時動揺しましたが、最終的に勤王に藩論を統一して、新政府軍に恭順の意を表しました。
2. 旗本:稲葉播磨守家
初代 稲葉 正員(まさかず)【1649~1728】
1661年(13)に召されて中奥に候し、1668年(20)に蔵米千俵を賜りました。1673年(25)に病により辞職して蔵米を返上し、父の領地居小田原に居住しました。
妻は旗本 青山盛長の娘。
稲葉 正如(まさゆき)【?~?】
稲葉正則の十男。兄正員の養子となるも先に没しました。
稲葉 正相(まさすけ) 【1686~1705】
松平乗久の十男。正員の養子となり、1701年(16)に五代将軍 徳川綱吉に拝謁しました。1705年(20)に父に先立ち没しました。享年20。
二代 稲葉 正方(まさかた)【1680~1728】
妻は稲葉正員の娘、後妻は旗本 片桐為晴の娘(この片桐家は片桐且元の弟の子孫)。
稲葉 右近【?~?】
三代 稲葉 正福(まさとみ)【1714~1735】
山城淀藩主 稲葉正親の二男。
正方の養子となり、1729年に16歳で家督相続しました。享年22。
四代 稲葉 正明(まさあき)【1723~1793】
山城淀藩主 稲葉正親の三男。
兄正福の養子となり、1735年に13歳で家督相続しました。1737年(15) に徳川家治の御小姓となり、西の丸に勤士し、1745年(23)に本丸に移りました。1755年(33)に御小姓組番頭格となり、のち側御用取次にすすみました。
1769年(47)に上総・常陸国内で二千石を加えられました。1776年(54) に十代将軍 徳川家治の日光社参に供奉しました。翌年、安房国内で二千石を加増され、さらに1781年(59)に安房・上総国内で三千石を加増されて合わせて一万石となり、諸侯に列しました。
3. 安房館山藩 稲葉家
初代 稲葉 正明(まさあき)【1723~1793】
山城淀藩主 稲葉正親の三男。
1781年(59)に加増されて一万石となり、さらに1785年(63)に安房・上総国内で三千石を加増されて一万三千石となりましたが、翌年に将軍家治が没すると側御用取次を罷免され、昨年加増された三千石は削減されて、一時出仕を止められました。1789年に67歳で隠居しました。享年71。
稲葉 正令(まさやす)【1750~1788】
稲葉正明の長男。
1763年(14)に十代将軍 徳川家治に初お目見えし、将軍家世子 徳川家基が山王社に詣でるとき、騎馬にて供奉しました。1769年(20)に御小姓となり、さらに中奥の御小姓に移りました。1778年(29)に寄合に列し、1780年(31)に病により嫡を辞しました。享年39。
二代 稲葉 正武(まさたけ)【1769~1840】
稲葉正明の四男。
長兄正令が世子を辞し、次兄正賞は旗本 堀親褒の養子となり、三兄は早世したため正武が世子となりました。1786年(18)に父に連座して処罰されました。
三代 稲葉 正盛(まさもり)【1791~1819】
稲葉正武の長男、母は加納久周の娘。
四代 稲葉 正巳(まさみ)【1815~1879】
稲葉正盛の長男、母は本多忠誠の娘。
1820年にわずか6歳で安房館山藩を相続しました。1834年(20)と1841年(27)に大坂加番をつとめました。藩財政の窮乏のため、財政立て直しに尽力しました。1845年(31)に大番頭となり、1853年(39)には講武所建立総裁を兼任し、1861年(47)に講武所奉行、翌年に若年寄にすすみ、外国御用取扱勝手掛となりました。1863年(49)海陸備向掛、翌年に神戸海軍操練所取立方となりましたが、同年に辞職し、隠居しました。
1865年(51)に多難な時勢であったため若年寄に再任され、役料五千俵を与えられて勝手掛・外国御用取扱となり、軍制並びに諸向改革の事務を兼任しました。翌年に海軍御用向取扱となりましたが辞職し、若年寄格となって陸軍奉行となりました。さらに同年老中格にすすみ、役料一万石を与えられ、海軍総裁となりました。1868年()に老中格を辞任しました。享年65。
五代 稲葉 正善(まさよし)【1848~1902】
武蔵岩槻藩主 大岡忠恕の二男
正室は豊後岡藩主 中川久昭の娘。
稲葉正善の大叔母が二代藩主正武の継室。養父の正巳とは”はとこ”の関係。
参考文献:
江戸時代全大名家事典(東京堂出版)
江戸大名家血族事典(新人物往来社)
名門・名家大辞典(東京堂出版)
日本名字家系事典(東京堂出版)
日本史総覧 コンパクト版(新人物往来社)
それでは、今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。