探検!日本の歴史

趣味で調べた戦国から江戸時代の大名、城、藩、旗本などについて主に書いていきます。

明治維新後の徳川一族~御三卿~

こんにちは、勘矢です。
今回は明治維新後から終戦頃までの御三卿の徳川一族について調べたことをまとめました。
 
 

1. 田安徳川家

 幕末の当主亀之助は徳川慶喜の跡を継いで徳川宗家を相続して家達と改名した。田安家は実父で隠居の慶頼が再相続した。慶頼は江戸城開城の際、謹慎中の慶喜にかわり市中の秩序維持につとめた。その子達孝のときに伯爵。
 国文学研究資料館の新日本古典籍総合データベースに 田安徳川家資料(田藩文庫ほか)画像一覧がある。 
 
田安 慶頼(よしより)【1828~1876】
 田安斉匡の九男。
 1839年に田安家を相続し、1863年に隠居。1868年に三男亀之助が徳川宗家を相続したため田安家を再相続。
 夫人:閑院宮孝仁親王第三女子 光子。
 
徳川 達孝(さとたか)【1865~1941】
 田安慶頼の四男。
 1876年に家督相続し、1884年に伯爵。1897年に貴族院議員となり、1922年に侍従長となった。
 夫人:徳川慶喜の長女 鏡子。島津忠義の四女 知子(旧鹿児島藩主家)。
 
徳川 達成(さとなり)【1899~1961】
 徳川達孝の長男。
 1941年に家督相続。海軍技術大佐。
 夫人:戸田氏秀の二女 元子(旧大垣藩主家)。
 
 

2. 一橋徳川家

 将軍後見職などをつとめた慶喜が将軍職を継ぐと、元尾張藩主の茂栄が一橋家を相続した。1884年に茂栄の子達道が伯爵となった。達道は慶喜の三女鉄子と結婚した。
 達道の後継ぎには、鉄子の従兄徳川篤敬(水戸家当主)の二男宗敬が養子に迎えられ、鉄子の姪(鉄子の弟池田仲博の娘)幹子と結婚した。幹子は戦後、水戸郊外に入植、山林を開墾して徳川牧場をひらいた。
 茨城県立歴史館には、一橋徳川家から寄贈された美術品や文書などを展示する一橋記念室がある。 
 
徳川 茂栄(もちはる)【1831~1884】
 高須藩松平義建の五男。
 はじめ実家の高須藩主を相続し、兄慶勝が安政の大獄で隠居謹慎の処分を受けたため宗家の尾張藩を相続した。のち兄の子義宜に家督を譲った。一橋慶喜が将軍となると一橋家を相続した。
 夫人:二本松藩主 丹羽長富の五女 政子。
 
徳川 達道(さとみち)【1872~1944】
 徳川茂栄の子。
 1884年家督相続し、伯爵。1933年に隠居。
 夫人:徳川慶喜の三女 鉄子
 
徳川 宗敬(むねよし)【1897~1989】
 水戸徳川家 徳川篤敬の二男。
 一橋徳川家の達道の養子となり、1933年に家督相続。1939年に貴族院議員となり、1946年に最後の貴族院副議長となった。翌年に参議院議員
 夫人:池田仲博の長女 幹子(旧鳥取藩主家。仲博は慶喜の五男)。
 
 

3. 清水徳川家

 幕末の当主昭武は将軍徳川慶喜の名代としてパリ万博に参加し、1868年に実兄の水戸藩徳川慶篤の急逝により帰国して水戸家を相続したため当主不在となった。1870年に昭武の甥で慶篤の二男篤守が名跡を相続した。1884年に伯爵となるも1899年に爵位返上した。
 その子好敏は航空機・軍用機操縦のパイオニアとなり、その功を認められて男爵を授けられた。
 
 2022年3月31日(木)まで所沢航空発祥記念館にて特別展「所澤飛行場 空を拓くものがたり~第二章 二人の空の開拓者 発明家 日野熊蔵 と 航空人 徳川好敏」が開催されている。
 
徳川 篤守(あつもり)【1856~1924】
 水戸藩徳川慶篤の二男。
 1870年に当主不在の清水徳川家を相続し、清水氏を称した。翌年アメリカに留学。帰国後、外務省御用掛などをつとめた。1884年に伯爵となり、1887年に徳川氏に復した。1899年に爵位返上した。
 夫人:小笠原忠幹の二女 登代子(旧小倉藩主家。離縁)。
 
徳川 好敏(よしとし)【1884~1963】
 徳川篤守の長男。
 1910年に東京代々木の練兵場においてアンリ・フォルマン機をかって日本人飛行士として初めて航空機で空を飛んだ。1912年には埼玉県の所沢飛行場から代々木練兵場までの32キロを飛んだ。
 1928年に男爵、1935年に陸軍中将となった。その後、陸軍航空士官学校校長となった。
 夫人:松平忠威の長女 千枝子(旧島原藩主家。忠威の父忠和は斉昭の十六男)。
 

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所沢航空発祥記念館

 代々木公園は、明治のころは代々木練兵所だった。ここに日本初飛行の地のモニュメントがある。また、徳川好敏と日野熊蔵銅像もある。

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日本初飛行の地

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徳川好敏と日野熊蔵銅像
 
参考文献:
 名門・名家大辞典(東京堂出版
 徳川慶喜とそれからの一族 徳川一族の明治・大正・昭和史 佐藤朝泰著(立風書房
 平成新修旧華族家系大成 下巻(霞会館
 日本人名大辞典(講談社
 松戸徳川家関係系図松戸市戸定歴史館)
 
それでは、今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。