こんにちは、勘矢です。
今回は高家前田家について調べたことをまとめました。
1. 高家前田出雲守家
高家前田家は2家あり、一つ目は藤原氏の流れをくむ押小路公音の二男玄長からはじまる。玄長は1702年に五代将軍徳川綱吉に取り立てられて御小姓並となり、蔵米三百俵を賜った。公音の祖父三条西実条が前田玄以の娘を室に迎えている縁からか、前田を称した。その後さらに三百石の加増と蔵米を改められ、武蔵国内で六百石を知行した。1704年に三百石、1707年に相模国内で五百石を加増され、合わせて千四百石となり、1709年に高家に列せられた。
1868年に長礼はほかの高家とともに朝臣に召し加えられ、中大夫席となった。翌年士族に編入され、現米七十五石を家禄として下賜された。
初代玄長、二代房長、三代清長、六代長義、七代長徳は奥高家となり、玄長と房長は高家肝煎をつとめた。
初代 前田 玄長(はるなが)【1686~1752】
公家 押小路公音の二男、母は河鰭実陳の娘。高家肝煎。享年67。
妻は陸奥湯長谷藩主 内藤政貞の養女(旗本 土方雄賀の娘<政貞の妹>)。
二代 前田 房長(ふさなが)【1710~1781】
旗本 松平(松井)康郷の三男。
1752年に43歳で家督相続。奥高家、高家肝煎。1773年に65歳で隠居。享年72。
妻は下野大田原藩主 大田原扶清の娘。後妻は旗本 青木直宥の娘。
三代 前田 清長(きよなが)【1745~1789】
前田房長の長男、母は青木直宥の娘。隠岐守。
妻は丹後田辺藩主 牧野明成の娘。後妻は旗本 大森邦頼の娘。後々妻は近江三上藩主 遠藤胤将の娘。
四代 前田 珍長(よしなが)【1766~1812】
前田清長の長男、母は牧野明成の娘。帯刀。
1789年に24歳で家督相続。1798年に33歳で隠居。享年47。
五代 前田 長皓(ながあきら)【1780~1824】
前田清長の五男。繁之助。
妻は松平忠命の娘、後妻は菅沼定候の娘。
六代 前田 長義(ながよし)【1803~1856】
前田長皓の子。織部、出雲守。
1825年に23歳で家督相続。奥高家。1842年に40歳で隠居。享年54。
妻は松平康任の養女、後妻は常陸笠間藩主 牧野貞幹の妹 澄(のち紀、また松)。
七代 前田 長徳(ながのり)【1810~1865】
信濃高島藩主 諏訪忠肅の子。貞之丞、上総介。初名頼徳。
1836年に長義の養子となり、1842年に家督相続。奥高家。享年56。
妻は前田長義の養女(松平康保の娘)。
八代 前田 長礼(ながひろ)【1830~1903】
妻は前田長礼の養女(近江水口藩主 加藤明邦の娘)。
2. 高家前田信濃守家
二つ目の高家前田家は、菅原道真を祖とする公家高辻長量の二男長泰からはじまる。長泰は1707年に五代将軍徳川綱吉に取り立てられて御小姓並となり、蔵米三百俵を賜った。
1708年に三百石の加増と蔵米を改められ、武蔵国内で六百石を賜り、1709年に高家に列せられた。1713年に遠江国内で加増され、合わせて千石を知行した。三代長禧のとき遠江国内の知行地を武蔵国内に移された。
初代長泰、二代長敦、三代長禧、七代 長猷は奥高家となり、長泰と長敦は高家肝煎をつとめた。
初代 前田 長泰(ながやす)【1690~1763】
公家 高辻長量の二男、母は高辻豊長の娘。長量は東坊城家からの養子。伊豆守、信濃守。初名賢長。
1707年(18歳)~1763年(74歳)。高家肝煎。享年74。
二代 前田 長敦(ながとし)【1725~1775】
前田長泰の長男。伊豆守。
妻は越中富山藩主 前田利隆の娘。後妻は加賀大聖寺藩主 前田利章の娘。
三代 前田 長禧(ながとみ)【1755~1805】
前田長敦の長男。信濃守。
妻は旗本 遠山伊氐の娘(離婚)。
四代 前田 長英【?~?】
前田長禧の子。靱負。
1805年に家督相続。1813年に隠居。
五代 前田 長粲【?~1831】
出羽亀田藩主 岩城隆恕の子。百之助、信濃守。初名隆英。
六代 前田 長年【?~1848】
前田長粲の子。清丸、右近。
七代 前田 長猷【?~?】
前田長年の子。鉞丸、大蔵大輔。
※旗本各家の家名は、徳川旗本八万騎人物系譜総覧を基に採用しました。
参考文献:
寛政重修諸家譜(國民圖書 / 国立国会図書館デジタルコレクション)
名門・名家大辞典(東京堂出版)
徳川旗本八万騎人物系譜総覧(新人物往来社)
続徳川実紀 第1篇、第2篇、第3篇(経済雑誌社 / 国立国会図書館デジタルコレクション)
寛政譜以降 旗本百科事典 第5巻(東洋書林)
諏訪氏系図 正編 修補(延川和彦 著, 飯田好太郎 補 / 国立国会図書館デジタルコレクション)
華族類別譜 上巻 皇別(柴山典 編 / 国立国会図書館デジタルコレクション)
公卿人名大事典 普及版(野島寿三郎編 / 日外アソシエーツ)
それでは、今日はここまで。
最後までお読みいただきありがとうございます。