探検!日本の歴史

趣味で調べた戦国から江戸時代の大名、城、藩、旗本などについて主に書いていきます。

大給松平家~府内藩の分家~

こんにちは、勘矢です。

今回は府内藩大給松平家の分家旗本家について調べたことをまとめました。

 

 

1. 旗本大給松平家(府内藩より分知)

(1)旗本:松平金之丞家

 松平近陣の三男近苗が1713年に兄近禎より蔵米五百俵を与えられ別家した。四代近言は田安家家老となり、その後、西ノ丸御側御用取次となり千五百石を加増されて二千石となった。六代近直は勘定奉行をつとめ、海防掛、軍制改革などの任にあたり、のちに田安家家老をつとめた。

 

初代 松平 近苗(ちかたね)【1667~1732】

 松平近陣の三男。御先鉄砲頭。享年66。

 妻は肥前唐津藩主 松平乗久の娘。

 

二代 松平 近義(ちかよし)【?~1743】

 松平近苗の長男。1732年に家督相続。

 

三代 松平 近朝(ちかとも)【1719~1765】

 松平近苗の二男。

 兄の養子となり、1743年に25歳で家督相続。西ノ丸の御小姓組。享年47。

 妻は豊後府内藩主 松平近貞の娘。

 

四代 松平 近言(ちかのぶ)【1749~1816】

 松平近朝の長男、母は松平近貞の娘。享年68。

 1765年に17歳で家督相続。御小納戸、御先鉄砲頭、田安家家老。

 妻は松平昭永の娘。

 

五代 松平 近礼(ちかのり)【1772~?】

 松平近言の長男、母は松平昭永の娘。御小姓組番士、中奥小姓。

 妻は旗本 前田矩貫の娘。

 

六代 松平 近直(ちかなお) 【?~?】

 松平近礼の子。御使番、目付、勘定奉行、田安家家老。1860年に隠居。

 

松平 近豊 【?~1856】

 松平近直の子。中奥小姓。父に先立ち没した。

 

七代 松平 近知 【?~?】

 旗本 諏訪頼保の子。1860年に近直から家督相続。勤仕並寄合。

 

大給松平氏系図(府内藩系旗本1)

 

(2)旗本:松平大学家

 松平忠昭の二男近鎮は1656年に召し出されて中奥番をつとめ蔵米五百俵を与えられた。1676年に豊後国内で千五百石を分与されてこれまでの蔵米は返還した。1683年に大番頭となり、武蔵国内で加増されて二千五百石となった。

 幕末の近韶は御使番、田安家家老、勘定奉行勝手方、一橋家家老などをつとめ、1863年に御役御免となるが、翌年に旗奉行となり長州征討にも参加した。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 近鎮(ちかやす)【1645~1716】

 松平忠昭の二男、母は酒井忠正の娘。享年72。

 妻は旗本 皆川秀隆の娘。

 

二代 松平 近敏(ちかとき)【1697~1724】

 一族松平近任の長男、母は松平正直の娘。

 近鎮の養子となり、1716年に20歳で家督相続。享年28。

 

三代 松平 近方(ちかかた)【1703~1735】

 松平近則の長男。

 1724年に22歳で家督相続。享年33。

 

四代 松平 近明(ちかあきら)【1712~1786】

 一族松平近郷の三男。

 近方の養子となり、1735年に24歳で家督相続。御使番、西ノ丸御小姓組番頭。1780年に69歳で隠居。享年75。

 

五代 松平 近周(ちかのり)【1741~1793】

 松平近明の長男。

 1780年に40歳で家督相続。享年53。

 妻は旗本 松平(滝脇)正雅の娘。後妻は越後糸魚川藩主 松平堅房の娘。

 

六代 松平 近峯(ちかみね)【1775~?】

 松平近周の長男、母は松平正雅の娘。

 1793年に19歳で家督相続。御小姓組

 妻は旗本 松平乗季の娘。

 

松平 近韶 【?~?】

 松平徳之輔の子。1864年に隠居。

 

(3)旗本:松平喜内家

 松平忠昭の三男近良の1663年に召し出されて御書院番をつとめ、蔵米五百俵を与えられた。1676年に父の遺領のうちに豊後国内で新田千石を分与されてこれまでの蔵米は返還した。1682年に上野・下野国内で加増されて千五百石となった。

 三代近富ははじめ義弟近副(ちかすけ)を養子としたが先立たれ、一族の近国の三男 近春を養子に取ったが故あって実家に戻り、旗本久松松平家から崇済を婿養子に迎えるも先立たれた。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 近良(ちかよし)【1646~1718】

 松平忠昭の三男、母は酒井忠正の娘。1708年に63歳で隠居。享年73。

 妻は旗本 松平(滝脇)政勝の娘。政勝はのち正直と改め、その孫正朗は近良の孫正雅(近郷の四男)を養子に取った。

 

松平 昭仲(あきなか)【?~1708】

 松平近良の長男。父に先立ち没した。

 

二代 松平 近郷(ちかさと)【1683~1734】

 松平近良の二男、母は松平政勝の娘。

 1708年に26歳で家督相続。御小姓組の組頭。享年52。

 

三代 松平 近富(ちかさと)【1701~1784】

 松平昭仲の長男。

 叔父近郷の婿養子となり、1734年に34歳で家督相続。御先鉄砲頭。1780年に80歳で隠居し、隠居料三百俵を賜った。享年84。

 妻は松平近郷の娘。

 

松平 崇済(たかまさ)【?~1771】

 旗本 松平(久松)忠盈の二男。父に先立ち没した。妻は松平近富の養女(松平近明の娘)。

 

四代 松平 近栄(ちかなが)【1737~1794】

 越後糸魚川藩主 松平直好の二男、母は石原氏。

 1780年に44歳で家督相続。御書院番。1792年に56歳で隠居。享年58。

 

五代 松平 近豊(ちかとよ)【1774~?】

 松平近栄の長男。1792年に19歳で家督相続。御小納戸。

 妻は越後糸魚川藩主 松平直紹の娘。直紹は先代近栄の甥。

 

 

2. 旗本大給松平家(成重系)

(1)旗本:松平勇助家

 松平成重の三男一重は1625年に御小姓組の番士となり、蔵米三百俵を与えられ別家した。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 一重(かずしげ)【?~1700】

 松平成重の三男、母は安藤重信の娘。

 

二代 松平 勝重(かつしげ)【?~1701】

 松平一重の長男。

 

三代 松平 近則(ちかのり)【1675~1747】

 一族松平重勝の長男。

 1702年に28歳で家督相続。御書院番。1741年に67歳で隠居。享年73。

 

四代 松平 近晴(ちかはる)【1721~1797】

 松平近則の四男。

 1741年に21歳で家督相続。御小姓組1780年に60歳で隠居。享年77。

 

五代 松平 近美(ちかよし)【1764~?】

 松平近兼の長男、母は秋山清俶の娘。

 1780年に17歳で祖父の家督を相続。

 妻は旗本 木村永昌の娘。

 

大給松平氏系図(府内藩系旗本2)



 

(2)旗本:松平伝蔵家

 松平成重の四男重勝は1656年に御書院番となり、蔵米三百俵を与えられて別家した。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 重勝(しげかつ)【?~1706】

 松平成重の四男。

 

二代 松平 重長(しげなが)【?~1712】

 松平重勝の二男。1706年に家督相続。

 

三代 松平 近国(ちかくに)【1695~1749】

 松平重長の長男。

 1712年に18歳で家督相続。御小納戸。享年55。

 妻は旗本 三宅徳恩の娘。

 

四代 松平 近友(ちかとも)【1730~1780】

 松平近国の長男、母は三宅徳恩の娘。

 1749年に20歳で家督相続。小普請の組頭。享年51。

 

五代 松平 近英(ちかふさ)【1752~?】

 松平近友の長男。

 1780年に29歳で家督相続。御小姓組の番士。

 妻は旗本 萩原正孝の養女(田安家家臣 揖斐政親の娘)。

 

(3)旗本:松平熊五郎

 松平成重の五男近憲は甲府藩主徳川綱重に仕え、1704年に家宣の将軍家相続にともない蔵米五百俵を与えられて幕臣となった。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 近任(ちかとう)【1668~1714】

 旗本 皆川広隆の二男。享年47。

 妻は旗本 松平(滝脇)正直の娘。

 

二代 松平 近知(ちかとも)【1705~1783】

 松平近任の二男、母は松平正直の娘。

 1714年に10歳で家督相続。御書院番。享年79。

 妻は旗本 松平近郷の娘。

 

三代 松平 近道(ちかみち)【1737~1792】

 旗本 鷲巣清茂の二男。

 近知の婿養子となり、1783年に47歳で家督相続。享年56。

 妻は松平近知の娘。

 

四代 松平 近芳(ちかよし)【1773~?】

 一族 松平近明の三男、母は村井氏。

 近道の婿養子となり、1792年に20歳で家督相続。御小姓組

 妻は松平近道の娘。

 

3. 旗本大給松平家(正吉系)

(1)旗本:松平藤五郎家

 松平近正の三男正吉は大坂の冬の陣に参陣し、その功により武蔵国内で五百石を与えられた。1633年に二百石加増された。四代正勝は自殺したため、その子正信は減知されて五百石を相続した。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 正吉(まさよし)【1595~1646】

 松平近正の三男、母は大久保六右衛門の娘。享年52。

 妻は旗本 大久保忠尚の娘。

 

二代 松平 正親(まさちか)【1626~1679】

 松平正吉の二男、母は大久保忠尚の娘。

 1646年に21歳歳で家督相続。御書院番。享年54。

 

三代 松平 正遠(まさとお)【1658~1684】

 松平正親の長男。1679年に22歳で家督相続。御小姓組。享年27。

 

四代 松平 正勝(まさかつ)【1668~1705】

 松平正親の四男。

 1684年に17歳で家督相続。御書院番。享年38。

 妻は旗本 西山昌春の娘。

 

五代 松平 正信(まさのぶ)【1691~1708】

 松平正勝の長男、母は西山昌春の娘。1705年に15歳で家督相続。享年18。

 

六代 松平 正輔(まさすけ)【1700~1775】

 松平正勝の四男、母は西山昌春の娘。

 兄の養子となり、1708年にわずか9歳で家督相続。御小姓組組頭。1747年に48歳で隠居。享年76。

 

七代 松平 正籌(まさかず)【1723~1760】

 松平正輔の長男。

 1747年に25歳で家督相続。御小姓。享年38。

 妻は旗本 加藤正景の娘。

 

八代 松平 正富(まさたか)【1744~1776】

 旗本 丸毛政恭の二男。

 正籌の婿養子となり、1760年に17歳で家督相続。西ノ丸御書院番の番士。享年33。

 妻は松平正籌の娘。

 

九代 松平 正之(まさゆき)【1760~?】

 松平正富の長男、母は松平正籌の娘。

 1776年に17歳で家督相続。御小姓組の番士。

 妻は旗本 井上正長の娘。後妻は旗本 市岡美喬の娘。後々妻は旗本 仁賀保誠之の娘。。

 

大給松平氏系図(府内藩系旗本3)



 

(2)旗本:松平益太郎家

松平正吉の三男正生は徳川家光の子亀松に附属され、その後、御小姓組に転じて蔵米三百俵を与えられた。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 正生(まさなり)【1635~1720】

 松平正吉の三男、母は大久保忠尚の娘。享年86。

 

松平 正利(まさとし)【?~1693】

 松平正生の長男。御書院番。父に先立ち没した。

 妻は久津見充信の娘。正利の没後、天英院(六代将軍家宣の正室)に仕えて老女となった。

 

二代 松平 正厚(まさあつ)【1697~1741】

 一族松平正勝の三男、母は西山昌春の娘。

 正生の養子となり、1716年に20歳で家督相続。御小姓組。享年45。

 妻は旗本 酒井忠秀の娘。

 

三代 松平 正興(まさおき)【1721~1756】

 松平正厚の長男、母は酒井忠秀の娘。

 1741年に21歳で家督相続。御小姓組。享年36。

 妻は旗本 坂原定賢の娘。

 

四代 松平 正路(まさみち)【1740~1786】

 松平正輔の三男。

 従兄正興の養子となり、1756年に17歳で家督相続。西ノ丸御小姓組の番士。享年47。

 妻は旗本 朝日近明の娘(離婚)。後妻は旗本 佐山高林の娘。後々妻は旗本 瀬名義珍の娘。

 

五代 松平 正清(まさきよ)【1770~1793】

 旗本 瀬名義正の三男、母は西山昌詮の娘。義正は松平正輔の二男。

 叔父正路の養子となり、1786年に17歳で家督相続。享年24。

 妻は松平正路の娘。

 

六代 松平 正愛(まさよし)【1787~?】

 松平正清の長男、母は松平正路の娘。

 1793年にわずか7歳で家督相続。

 

(3)旗本:松平六十郎家

 松平正吉の四男昌副は、館林藩時代の徳川綱吉に仕えた。綱吉の将軍家相続に伴い、蔵米三百俵で幕臣となり、大番をつとめた。正友・正種は大番、二条城の守衛をつとめた。

 

(寛政年間までの当主)

初代 松平 正副(まさすけ)【?~1702】

 松平正吉の四男、母は大久保忠尚の娘。妻は旗本 後藤利正(正冬)の娘。

 

二代 松平 正友(まさとも)【?~1707】

 松平正副の長男、母は後藤利正の娘。1702年に家督相続。妻は神谷氏の娘。

 

三代 松平 正種(まさたね)【1702~1736】

 松平正友の長男、母は神谷氏の娘。

 1708年にわずか7歳で家督相続。享年35。

 妻は旗本 前田定信の娘(離婚)。

 

四代 松平 正利(まさとし)【1722~1791】

 松平正種の長男、母は前田定信の娘。

 1736年に15歳で家督相続。1791年に70歳で隠居し、隠居料三百俵。享年70。

 妻は旗本 山名豊明の養女(旗本 永田継夷の娘)。

 

五代 松平 正尚(まさなお)【1750~?】

 旗本 押田勝輝の三男、母は金田正利の娘。

 正利の婿養子となり、1791年に42歳家督相続。御小姓組の番士。

 妻は松平正尚の養女(旗本 山名豊明の娘)。後妻は旗本 須田盛明の娘。後々妻は旗本 小宮昌則の娘。。

 

※旗本各家の家名は、徳川旗本八万騎人物系譜総覧を基に採用しました。これに記載がない家は、寛政譜に記載されている最後の当主の通称を採用しました。

 

参考文献:

 寛政重修諸家譜(國民圖書 / 国立国会図書館デジタルコレクション)

 徳川幕臣人名辞典(東京堂出版

 名門・名家大辞典(東京堂出版

 日本名字家系事典(東京堂出版

 徳川旗本八万騎人物系譜総覧(新人物往来社

 徳川将軍家・松平一族のすべて(新人物往来社

 日本人名大辞典(講談社

 続徳川実紀 第1篇、第2篇、第3篇、第4篇、第5篇(経済雑誌社 / 国立国会図書館デジタルコレクション)

 寛政譜以降 旗本百科事典 第5巻(東洋書林

 増補改訂版 日本史に出てくる官職と位階のことがわかる本(中経出版

 徳川諸家譜 第四(続群書類従完成会

 

それでは、今日はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございます。